【注意】介護士がやりがちな“医療行為”5選|知らずに行うと法律違反になる可能性も介護現場で「つい」やってしまいがちな医療行為。実は法律違反やリスクにつながるケースもあります。介護士が気をつけたい代表的な行為5選を詳しく解説します。
目次
- 介護士と医療行為の境界線とは?
- 介護士がやりがちな医療行為5選
2-1. 褥瘡の処置で軟膏を塗る
2-2. 傷口のガーゼ交換
2-3. 爪切りで深爪や巻き爪の処理
2-4. 点眼薬を直接差す
2-5. インスリン注射の代行 - なぜ介護士が医療行為をしてはいけないのか
- 介護士ができる範囲のケア
- 医療行為を求められた時の対応方法
- まとめ:グレーゾーンを避けるために
1. 介護士と医療行為の境界線とは?
介護の仕事をしていると、「これって介護士がやっていいのかな?」と迷う場面に出会うことがあります。利用者さんの体調が悪い時や、ちょっとした処置が必要な時、善意で手を差し伸べることは誰しもあるでしょう。しかし、その中には法律上「医療行為」とされ、介護士が行うと違法行為になってしまうものがあります。
介護職の役割は「生活の支援」であり、医療行為は医師や看護師など、医療従事者のみに許されています。その境界線を知らないまま関わると、利用者の安全を損なうだけでなく、介護士自身が法的トラブルに巻き込まれるリスクもあるのです。
本記事では、介護士が何気なくやってしまいがちな「医療行為」を5つ取り上げ、どこに注意すべきかを解説します。
2. 介護士がやりがちな医療行為5選
2-1. 褥瘡の処置で軟膏を塗る
ベッド上で生活する高齢者にとって、褥瘡(じょくそう・床ずれ)は大きなリスクです。介護士としては「乾燥しているから薬を塗ってあげたい」と思う場面があるかもしれません。しかし、軟膏の塗布は医療行為に当たるため、介護士が独断で行うことはできません。
介護士ができるのは、体位交換や体圧分散マットの使用、皮膚観察の報告です。実際の処置は必ず看護師に依頼しましょう。
2-2. 傷口のガーゼ交換
「ちょっと血がにじんでるから、ガーゼを替えてあげよう」
こうした気遣いも、実は医療行為に含まれます。傷口を清潔に保つための処置は、感染リスクを伴うため、医療従事者に限られています。
介護士にできるのは、ガーゼが汚れていることを報告すること。決して自分で交換しないことが重要です。
2-3. 爪切りで深爪や巻き爪の処理
利用者の爪切りは介護士が日常的に行うケアのひとつです。しかし、深爪をしたり、巻き爪や爪白癬(爪の水虫)に対して処置をするのは医療行為にあたります。
特に糖尿病を抱える高齢者の場合、足のトラブルは命に関わる重大なリスクを持ちます。爪切りはあくまで表面を整える範囲にとどめることが大切です。
2-4. 点眼薬を直接差す
ドライアイや緑内障で目薬を使っている高齢者も多いですが、点眼薬を利用者に直接差すことは介護士には許されていません。
介護士ができるのは、**「声かけ」や「手渡し」**まで。利用者自身が点眼できない場合は、必ず看護師に依頼しましょう。
2-5. インスリン注射の代行
糖尿病を持つ高齢者に欠かせないインスリン注射。これを介護士が代わりに打つことは完全に医療行為に該当します。注射はわずかなミスで低血糖や命に関わる事態を招くため、絶対に介護士が行ってはいけません。
介護士の役割は、血糖測定や注射が必要なタイミングを看護師に伝えることです。
3. なぜ介護士が医療行為をしてはいけないのか
医療行為は高度な知識と判断を必要とします。もし介護士が独断で行い、利用者に事故が起きた場合、刑事責任・民事責任を問われる可能性があります。さらに、施設そのものが訴訟リスクを抱えることにもなります。
「利用者のため」という気持ちは尊いですが、守るべきルールを破ってしまっては、結果的に利用者を危険にさらしてしまうのです。
4. 介護士ができる範囲のケア
では、介護士が安心してできるケアはどこまででしょうか。
- 食事・入浴・排泄などの生活支援
- 薬の「手渡し」や「声かけ」
- 爪切りは深爪を避けて表面を整える程度
- 皮膚観察と記録
このように、生活援助の範囲内でサポートすることが求められます。
5. 医療行為を求められた時の対応方法
現場では、利用者や家族から「ちょっと薬を塗ってあげてよ」とお願いされることがあります。そんな時はどうすればよいのでしょうか。
一番大切なのは、「できること・できないこと」を明確に伝えることです。曖昧な対応をすると、後々トラブルに発展します。
「それは医療行為なので、看護師にお願いしましょう」と丁寧に伝え、信頼関係を損なわないようにするのがポイントです。
6. まとめ:グレーゾーンを避けるために
介護職は、利用者の生活を支える大切な仕事です。しかし、医療行為に踏み込んでしまうと、利用者の命を危険にさらすだけでなく、自分自身や施設も法的リスクに巻き込まれます。
今回紹介した5つの行為は、現場で特に起こりやすいものです。日々のケアで「これは大丈夫かな?」と迷ったら、必ず看護師や上司に確認するようにしましょう。
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